RSウイルス感染症
どのような感染症
RSウイルスによる呼吸器の感染症です。何度も感染と発病を繰り返しますが、2歳までにほとんどのお子さんが一度はかかる感染症と言われています。9月頃から流行し、初春まで続くとされてきましたが、近年では夏季より流行が始まるようになってきています。
非常に感染力が強く、幼稚園や保育園などの施設内感染に注意が必要です。
症状
年長児以上のお子さんは、咳の出現後に7~12日で改善することが多いです。乳幼児のお子さんは更に悪化していくことがあります。
咳が強くなり、喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー)が出現するようになり、呼吸苦が悪化していきます。
6ヵ月以下のお子さん・先天性心疾患のお子さんの場合などは重症化し、人工呼吸器管理が必要になることもあります。
診断
迅速検査キットで診断します。
治療
特効薬などはなく、症状に合わせて対処療法するのが一般的です。
ただし、重症化リスクの高いお子様に限り、重症化抑制薬(シナジス)を予防投与することが認められています。
インフルエンザ
どのような感染症
インフルエンザウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症です。風邪に比べて症状が重く、乳幼児では重症化することもあります。日本の冬季に流行するインフルエンザウイルスには、A型とB型があります。
症状
風邪と間違われやすいインフルエンザですが、風邪に比べて高熱が出て、のどの痛みだけでなく、関節痛や筋肉痛を伴います。さらにインフルエンザは急激に症状が出てきます。症状が出る部位も局所的ではなく、全身に倦怠感が現れるのも特徴です。多くの場合1週間程度で治りますが、乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ方の中には、肺炎を併発したり、基礎疾患の悪化を招く場合があります。
診断
迅速検査キットで診断します。ただし、発症後12時間以上経過しないと、診察の精度が低くなるといわれています。
治療
抗インフルエンザ薬を発症後48時間以内に投与します。ただし、抗インフルエンザ薬はウイルス増殖を抑える薬であり、ウイルスを駆除する薬ではありません。48時間を超えるとウイルスの増殖が頂点に達するため投与する意味が薄れます。
ヒトメタニューモウイルス
どのような感染症
ヒトメタニューモウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症です。流行は3~6月に多く、一度感染しても、インフルエンザのように何度でも感染します。2歳までに約30%、10歳までにほとんどのお子さんがかかる感染症と言われています。
症状
症状は、インフルエンザの様に高熱が続き、RSウイルスの様に喘鳴が認められる」のが特徴です。喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)を起こす頻度が高く、重症化した場合は呼吸困難となり入院が必要となります。
診断
迅速検査キットで診断します。ただし、6歳未のみ保険適応となります。
治療
特効薬などはなく、症状に合わせて対処療法するのが一般的です。
溶連菌感染症
どのような感染症
「溶血性連鎖球菌」という細菌の感染によって引き起こされる病気です。
症状
のどの痛み、38℃以上の高熱、全身倦怠感などの症状が見られます。唾が飲み込めないほど、のどの痛みがひどくなるケースもあります。その他、舌がイチゴのように真っ赤に腫れたり、全身に赤い発疹を伴うこともあります。
診断
迅速検査キットで診断します。
治療
抗生剤を10日間 内服します。
内服して1~2日後に解熱することが多いですが、解熱しても抗生剤は飲み切るようにしてください。
また、稀ではありますが、腎炎の合併症を起こすことがありますので、2週間後の尿検査をお勧めします。
流行性角結膜炎(はやり目)
どのような感染症
アデノウイルスによる目のウイルス性結膜炎です。
夏の時期に流行する。ただし、子どもだけではなく、幅広い年代に感染する病気です。
症状
結膜の充血・目やになどを認めます。他のウイルス性結膜炎より症状がつよいのが特徴です。片方の目で発症した後、もう一方の目に遅れて感染することがあります。発症後5~8日ごろに症状が最もつよく、発症後7~10日後ごろに改善しはじめ、完治までに2週間程度かかります。角結膜炎がひどい場合は、角膜が白く濁ってしまい、角膜に傷が残ることがあるので注意が必要です。
診断
迅速検査キットで診断します。
治療
特効薬などはなく、症状に合わせて対処療法するのが一般的です。症状を和らげたり、二次感染を防ぐため、抗菌薬やステロイド薬を使用します。必要に応じて眼科の受診を紹介します。
咽頭結膜炎(プール熱)
どのような感染症
アデノウイルスによるウイルスが原因です。
夏の時期に、子どもを中心に流行することが多い感染症です。眼から出た分泌物を手で触ることで、手指を介し接触感染で拡大します。
症状
発熱・結膜炎(目の充血・俗に言う”はやり目”)・咽頭炎が症状として現れます。5⽇〜10⽇程の潜伏期間を経て、上記のような症状が現れ、⾷欲不振・全⾝のだるさ・頭痛・結膜炎による目の痛みや眩しいという症状を訴えることがあります。上の症状は、5⽇間程続きます。
診断
迅速検査キットで診断します。
治療
特効薬などはなく、症状に合わせて対処療法するのが一般的です。
必要に応じて炎症を抑える抗生剤の点眼薬を予防的に使うこともあります。
マイコプラズマ感染症
どのような感染症
マイコプラズマ・ニューモニエという細菌が原因です。
咳・鼻汁などを介した飛沫感染で感染します。感染力は風邪ほど強くはありませんが、保育園・学校・家庭内など集団生活の場で流行するケースがあります。
症状
発熱・咳・倦怠感・頭痛などを伴って発症します。
発症初期には痰を伴わない乾いた咳ですが、次第に痰が絡んだ咳へと変わり、夜にひどくなる傾向にあるようです。解熱後も咳だけが残り、咳が3~4週間ほど続くこともあります。
小中学生の肺炎の代表的な原因です。成人や、乳幼児でも感染するケースがあります。
診断
迅速検査キットで診断します。
いったん感染してしまうと、半年~1年間は迅速検査が陽性になることがあります。
治療
抗生剤投与が必要なことがあります。マイコプラズマによる急性上気道炎や軽度気管支炎であれば、抗生剤の投与がなくても自然に軽快することがあります。呼吸が苦しく、水分が取れない場合などは入院して治療することもあります。
ヘルパンギーナ
どのような感染症
大多数はエンテロウイルスやコクサッキーウイルスの感染によるものです。
6月から初夏にかけて流行し、乳幼児に多く見られる夏風邪の代表的なウイルス性の感染症。ウイルスの型がいくつかあるので、何度かかってしまうことも珍しくありません。 まれに大人も発症します。
症状
突然の高熱(39~40℃)に続いて同時に、のどが赤く腫れて小さな水疱がたくさんできます。水疱は2〜3日でつぶれて黄色い潰瘍になります。
のどの痛みが強いために、食事や飲みものを受けつけなくなることから、「脱水症状」に注意が必要です。
診断
症状から診断することがほとんどです。
治療
特効薬などはなく、症状に合わせて対処療法するのが一般的です。